胃潰瘍は、胃の粘膜がただれて傷つき、ひどいときには深層の筋肉までえぐられるようにダメージが生じる病気です。
健康な胃は、胃酸から胃を守るために胃粘液を分泌して胃粘膜の表面を覆っています。通常、胃酸の分泌と胃粘液の分泌とはバランスがとれていますが、過労や精神的なストレスなどで自律神経の働きが乱れると、胃酸と胃粘液のバランスがくずれて胃酸が多すぎる状態となります。その結果、胃酸が胃の粘膜を傷つけて潰瘍ができます。
また、ピロリ菌感染や非ステロイド系抗炎症薬の副作用なども胃潰瘍の原因として知られています。
胃潰瘍は胃がんの病変にも似ているため、バリウム検査や内視鏡検査で胃潰瘍が見つかったら、がん細胞がないか直接組織をとって調べます。胃がんが否定されて胃潰瘍と診断された場合は、胃酸を抑える薬などを用いた薬物療法と食事療法を含む生活指導を行います。出血がある場合は、内視鏡で出血を止める治療が必要になり、内視鏡で出血が止められない場合には手術が必要です。しかし、最近は内視鏡治療の技術が進み、効果が高い薬もあるため、かつてのように手術が必要な患者さんは減ってきています。
しかし、胃に穴があいてしまった場合は、腹膜炎に進行するため緊急での手術が必要になります。
また、ピロリ菌感染が原因の場合は、再発を防ぐために除菌治療をすることも可能です。
監修
2011年医師免許取得。一般内科医として幅広い疾患の診療を行ってきた。自身は二児の母。育児中は医療行政に関わり、国立保健医療科学院や結核研究所で感染症対策などを含めた公衆衛生分野の研鑽に励んだ。
まとめ
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