人生100年時代が到来!
きちんと食べて元気にすごすためのポイント

医療技術の進歩などにより、いまや「人生100年」も夢ではない時代。
急速な高齢化社会の進行にともない、「人生100年時代をどう生きるか」は私たち一人ひとりにとって考えなければならないテーマになって来ていますね。

いつまでもイキイキと暮らすためには、若い時から「必要な栄養をきちんと摂取する」ことが大切です。特に40・50代から気をつけたい「きちんと食べるためのポイント」を紹介します。

この記事の監修医師
正恵会 上田胃腸クリニック 院長
上田 治(うえだ・おさむ)先生
人生100年時代が到来!きちんと食べて元気ですごすためのポイント 人生100年時代が到来!きちんと食べて元気ですごすためのポイント

人生100年時代に必要なこととは?

「健康寿命」という言葉を目にしたことはありませんか?

「健康寿命」とはWHO(世界保健機関)が提唱した指標で、平均寿命のなかでも「寝たきりや認知症など要介護状態の平均期間を差し引いた期間」を意味します。日本はこの「健康寿命」以外の寿命、つまり、健康ではない状態で過ごす期間が欧米各国と比べ6年以上も長いのが現状です。

わが国では「健康寿命の延伸」のために継続的に取り組んできましたが、2020年に入って、寝たきり防止に向けた2つの新たな取り組みがスタートしているのをご存じですか?

平均寿命と健康寿命の差平均寿命と健康寿命の差

<第11回健康日本21(第二次)推進専門委員会 資料1-1 評価シート【様式1】P5 平成28年度データ>

高齢者向けの「フレイル検診」がスタート

「フレイル」とは、「健常」から「要介護」へ移行する中間段階であることを意味します。2020年度より、75歳以上の高齢者を対象とした健診に、新たに「フレイル検診」が追加導入されることが決定しました。

フレイル検診とは、質問票をもとに「フレイル状態にある(日常生活におけるサポートは必要だが、まだ寝たきり・要介護には至っていない)」「フレイル状態になりつつある」といった生活者の状態を把握し、フレイルの早期発見、あるいは支援を実施することで重症化予防を推進する目的で実施されます。

後期高齢者の質問表

<出典:厚生労働省 第34回保険者による健診・保健指導等に関する検討会 資料4>

「日本人の食事摂取基準」の改定

5年に一度改定される「日本人の食事摂取基準」。その2020年度版では「フレイル予防」という観点が盛り込まれており、筋肉不足や骨密度低下による寝たきりを防ぐために「タンパク質・ビタミンDの摂取」が打ち出されています。

人生100年時代を元気に生き続けるためには、きちんと食べる(エネルギーや栄養を、食事を通して摂取する)ことが大切。今一度、日ごろの食生活を見直してみましょう!

意外!?40・50代でも食事量が足りていない?

働き盛りの40・50代にとって、人生100年時代と言われても「自分にはまだ先の話」と思うかもしれません。ですが、以下の厚生労働省のデータを見てみましょう。

エネルギー食事摂取基準エネルギー食事摂取基準身体活動レベル各世代エネルギー摂取平均値

各世代が摂取するべき「エネルギーの食事摂取基準」と「実際のエネルギー摂取量の各年代の平均値」を見ると、40・50代でも、男女ともエネルギー摂取量が足りていないことがわかります。

「フレイル検診」の対象年齢は、75歳以上。しかしそのずいぶん前の世代である40・50代においても、食事から本来必要とするエネルギーや栄養が摂れていないのです。

食生活は、長年の習慣に基づくもの。年を重ねてから急に「もっと食べましょう」と言われても、なかなか難しいですよね。健康寿命を延ばすためにも、若いうちからきちんと食べることを意識することが大切です。あわせて生活習慣を見直し、運動なども取り入れてみてください。さらに、消化器官をすこやかに保つことも非常に重要です。

食生活は、長年の習慣に基づくもの

40・50代になると、少しの食事でも胃もたれを感じる…

年齢を重ねると、体の他の器官同様に消化器官も衰えてきます。以前はどんなに食べても大丈夫だったのに、40・50代に入って「胃が重い」「胃がむかつく」などの胃もたれを実感することが増えた…という人もいるのではないでしょうか?

厚生労働省の調べによると、「胃もたれ・胸やけ」を感じる人は40代で5人に1人、60代で3人に1人と、男女とも年代が上がるごとに増大しています。
<出典:平成28年国民生活基礎調査>

  • いつまでも胃の中に食べ物が残っている気がする
  • 油っぽいものが食べられなくなった
  • 少しの量でもお腹がいっぱいになる

という方も、加齢にともない胃の負担が増えていると考えられます。

このような「胃もたれ」が頻繁に起こると、食べること自体がおっくうになることもありますよね。たかが胃もたれ、胃が痛いわけではないからと我慢することは、必要なエネルギーが摂取できない状況に繋がってしまいます。このような状態を解消するには、どうしたらよいのでしょうか?

加齢による胃もたれは「胃粘液(バリア)の減少」が原因

加齢による胃への影響はさまざまありますが、胃もたれの要因として大きいのは「胃粘膜」へのダメージです。
胃粘膜は主に、このような役割を担っています。

  • 食べたものを消化する胃酸消化酵素を分泌
  • 胃粘液(胃酸の刺激から胃の内側を守り、内容物を十二指腸にスムーズに送る)を分泌

特に胃粘液は、厚さ0.5mmほどのベール(粘性の高い液体)を作って、胃の内側の胃粘膜全体を被い、胃を守るバリアの働きを担っています。

胃粘液

しかし年齢とともに、バリアを担う胃粘液の分泌量も低下します。すると胃粘膜は自身の胃酸によってダメージを受け、働きが低下します。

胃腺の収縮/胃粘液が減少 胃腺の収縮/胃粘液が減少

さらに胃粘液が減少することで、胃の内容物の流れも滞りがちに。胃もたれを感じやすくなり、「食べたい」と思っても十分に食べられなくなってしまうのです。

胃粘液をケアしながら、きちんと食べてずっと元気に過ごそう!

40・50代が意識したいのは、胃粘膜へのダメージを避けること。そして胃のバリアを担う胃粘液の分泌量を減らさないことです。そのためにも、胃粘膜がダメージを受ける主な原因や対策をチェックしておきましょう。

1.生活習慣を見直す

ライフスタイルによって、ストレスのたまる生活を続けてしまうことは、胃の働きを司る自律神経に影響を及ぼし、胃粘膜の働きを低下させます。毎日決まった時間に起床・就寝する、適度な運動を取り入れるなどして、規則正しい生活習慣に整えていきましょう。

生活習慣を見直す

2.嗜好品の過剰摂取は控える

刺激の強い食べ物や過度な飲酒、喫煙などは胃粘膜への直接的なダメージとなることがあります。これら嗜好品の摂取を避けるのはもちろん、過食や暴飲暴食もできるだけ控えましょう。

嗜好品の過剰摂取は控える 胃もたれが改善しない場合には、胃粘液分泌量を高めることのできる胃薬に頼るのもひとつの方法です 胃もたれが改善しない場合には、胃粘液分泌量を高めることのできる胃薬に頼るのもひとつの方法です

このようなライフスタイルを見直すことは、胃粘液(バリア)を減らさないようにすることはできても、直接的にその分泌量を増やすことはできません。

もし、胃もたれが改善しない場合には、胃粘液分泌量を高めることのできる胃薬に頼るのもひとつの方法です。胃粘液の分泌を促して胃粘膜を守るとともに、胃の運動機能を高めるタイプがおすすめです。
胃薬も上手に選んできちんと食べ、人生100年時代を謳歌してくださいね。

コラム

「風邪予防にもまず「胃」から。胃腸と免疫力の関係」

飲み会で食べすぎたり、飲み過ぎた翌日に風邪ぎみ…、栄養を摂ったのに風邪を引いてしまうといった経験ありませんか?それも実は胃腸と関係しているのです。
胃や腸の粘膜には免疫機能が集中しており、外から侵入してきた細菌やウイルスに対抗しています。
そのため、胃腸に負担がかかると、免疫力の低下や呼吸器系への悪影響につながり、風邪を引きやすくなってしまうことがあるのです。日頃から胃腸をいたわり、感染症に備えましょう。

「風邪予防にもまず「胃」から。胃腸と免疫力の関係」 「風邪予防にもまず「胃」から。胃腸と免疫力の関係」

この記事の監修者情報

正恵会 上田胃腸クリニック 院長
上田 治先生 (うえだ・おさむ)

専門分野・資格

  • 内科全般、胃内視鏡、大腸内視鏡
  • 日本消化器内視鏡学会認定医・専門医・指導医

経歴

  • 1975年 昭和大学医学部卒業、虎の門病院内科レジデント
  • 1980年 虎の門病院非常勤、平塚胃腸病院内科勤務
  • 1991年 上田胃腸クリニック開業