冬の胃腸も元気に!
疲れにくい年末年始の食生活のコツとは

冬は、何かと忙しく疲れやすい季節。胃腸の疲れがカラダの疲れにも影響を与えます。
元気に過ごせるよう、対策法をご紹介します。

木村 容子先生
この記事の監修医師
東京女子医科大学附属東洋医学研究所 所長、教授
木村 容子(きむら・ようこ)先生
冬の胃腸も元気に!疲れにくい年末年始の食生活のコツとは 冬の胃腸も元気に!疲れにくい年末年始の食生活のコツとは

冬は「蔵する季節」

冬は「蔵する季節」 漢方では冬は「蔵(ぞう)する季節」といわれています。冬眠で代謝活動を低くして冬を過ごす動物がいるように、人間もエネルギーを蔵む(きすむ=大切におさめる)ことで、春に備えることが大切です。
冬は寒さを凌ぐため、夏よりも基礎代謝量が10%くらい高いともいわれており、また、12月は「師走」といわれるように、年の瀬になるほど何かと忙しくなり、エネルギーを消耗しやすい時期です。

消耗したエネルギーを補充するだけでなく、エネルギーを貯金するコツを紹介します。

エネルギーを貯金!冬の睡眠のポイント

エネルギーを貯金!冬の睡眠のポイント

エネルギーである「気」を貯えるには、睡眠と食事が基本となります。

中国最古の医学書『黄帝内経(こうていだいけい)』には、冬場は「早寝・遅起」と記載されています。少し早く眠り、少し遅く起きることで、エネルギー(気)をより多く貯えることができます。

また、厳寒を避け、温暖に保つようにも指示されており、このような冬の生活習慣を心がけないと、次の季節、すなわち春になって病を発症しやすいと述べています。例えば、冬の養生を怠ると春に花粉症が酷くなるなど、ツケが回ってくる可能性があります。

エネルギーを補充!冬の食事のポイント

漢方では、心身の生理機能を司るところとして「五臓(肝、心、脾、肺、腎)」という考え方があります。日々のエネルギー(気)は、胃腸(漢方の「脾」)で作られるといわれています。そのため、エネルギーを補給するには、毎日の食生活が肝心です。

食生活で気をつけたいのは、「脂っこいもの・甘いもの・生もの・冷たいもの・辛いもの」をとりすぎないようにすること。いわゆる、「精のつく食べ物」がおすすめですが、「胃腸にやさしい」ことも必須条件なのです。

おせち料理に入っている黒豆や、昆布でだしをとった湯豆腐は、元気をつけるのにおすすめです。豆腐などの大豆製品だけでなく、芋類・しいたけ・白魚なども胃腸にやさしい食材です。ごはんは、おかずとおかずの合間に少しずつ食べるようにすると、さらに胃腸が元気になりますよ。

エネルギーを補充!冬の食事のポイント

また、正月の七日に食べる「七草粥」には、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロが入っています。セリには体内にこもった余分な熱を冷まし、水分代謝をよくする働きがあります。七草粥は、おせち料理で疲れた胃を休めて、不足しがちな野菜を補うだけでなく、邪気を払い万病を除く風習ともいわれています。

胃腸の疲れは禁物!働きを悪くする原因とは

12月は一年の締めくくりとして、何かと忙しくなる時期。多忙で睡眠不足になり、カラダが疲れやすいだけでなく、胃腸も疲れやすい時期です。その原因の一つが食生活です。

胃腸の疲れは禁物!働きを悪くする原因とは

年末年始の食事といえば、クリスマス会や忘年会を始めとする宴会、お正月のおせちなど、普段よりもご馳走を食べる機会が増えますよね。いつもよりもボリュームや品数が多い食事をすることで、エネルギー(気)を充分に補えて、元気になると思われがちですが、注意が必要です。

普段よりもついつい食べ過ぎたり、飲み過ぎたり、お正月は3食以外にもちょこちょこ食べる機会が増え、その消化と吸収のために胃腸が休みなく働きます。胃腸に負担がかかり、エネルギー(気)を補うどころか、かえってエネルギー(気)を消耗してしまいます。

エネルギー(気)を消耗して胃腸の働きが悪くなると、さらに活力が作れなくなる(気虚)ため、一層カラダがだるく疲れやすくなる、といった悪循環に陥ってしまうのです。

風邪予防にもまず「胃」から

風邪予防にもまず「胃」から

胃腸に負担がかかったり、エネルギーが不足したりすると、免疫力の低下につながりますので、風邪を引きやすくなります。

さらに、漢方では、胃腸(脾)は呼吸器(肺)の働きを増強する関係にあるとされているので、胃腸の働きが悪くなると、呼吸器系に悪影響を与えることになります。このため、夜の宴会で食べすぎや飲み過ぎた翌日に風邪ぎみ、すなわち栄養を取ったのに風邪を引いてしまう、といった残念な結果になってしまい、楽しい行事も台無しです。

五臓のしくみ
五臓のしくみ

胃腸ケアを心がけることは、風邪の予防にもなるのです。

胃腸のサインを見逃さないで!

まずは胃の調子によって、食欲や消化吸収力が左右されますので、胃の働きを高めることが大切になります。胃もたれや胃の張り感などのちょっとした胃の不調を感じたときには、早めに対処するようにしましょう。

例えば、
「油っぽいものを食べたわけではないのに、胃がもたれやすい」
「胃の辺りがいつも張った感じがする」
「いつもと同じ量のお酒しか飲んでいないのに二日酔いになった」
などは胃腸が疲れているサインです。

美味しく食べられないことはストレスにも繋がりますよね。ちょっとした心がけ次第で胃腸を元気に保ち、エネルギー(気)を充分貯えることで、冬を元気に過ごすだけでなく、春に向けても体調を備えることができますよ。

ちょっとした胃の不調の
チェックポイント!

  • なんとなく胃がもたれる
  • 胃の不調を繰り返す
  • 食べ物が残っている感じがする
  • 食後に胃がもたれやすくなった
  • 油っぽいものが苦手になってきた
  • 無理をすると胃に不調がおきやすい
  • 鎮痛剤、かぜ薬などを服用すると、胃が荒れやすい
このような症状のある方は、食事の工夫はもちろんですが、不調を感じたときは無理をせずに、お薬の力をかりるのも一つの手です。胃腸薬は市販もされています。

この記事の監修者情報

木村 容子先生
東京女子医科大学附属東洋医学研究所 所長、教授
木村 容子 先生 (きむら・ようこ)

資格・専門分野

医学博士、日本内科学会認定医、日本東洋医学会専門医、指導医、理事

資格・専門分野

医学博士、日本内科学会認定医、日本東洋医学会専門医、指導医、理事

経歴・賞等

  • 2002年より東京女子医科大学に勤務
  • 2008年 日本初の「漢方養生ドック」をはじめる
  • 2017年 第29 回日本東洋医学会 学術賞受賞

著書

  • 女40歳からの「不調」を感じたら読む本
  • 女50歳からの「不調」を感じたら読む本
  • 太りやすく、痩せにくくなったら読む本